生活保護の扶養照会の断り方を解説！拒否はできるの？申請者と親族の両立場で解説

自分の親や兄弟に連絡がいくのでは？　
住所や勤務先がバレてしまうのでは？

そんな疑問や不安を抱く方も少なくありません。

また、親族側の方でも、以下のような不安を感じている場合があります。

扶養照会届が届いたけど、無視できる？
金銭的余裕がなくて援助ができない。

この記事では、扶養照会の仕組みやその断り方について、申請者と親族の両立場から解説していきます。

生活保護の扶養照会とは？親族への連絡の有無や仕組みなど

生活保護を申請する際、多くの人が気にするのが「扶養照会」です。

扶養照会とは…
経済的支援が可能な親族がいないかどうかを確認するため、親族に対して扶養の意向を尋ねる手続き。

生活保護制度では、まずこの扶養照会を通じて、申請者の生活保護の必要性を審査します。

扶養照会がなされないケースについて見る▽

以下では、扶養照会の内容、親族への連絡の有無について詳しく解説します。

生活保護の扶養照会で確認されること

「親族が経済的に援助可能かどうか」が主に扶養照会では確認されます。

具体的には、以下のことが確認されます。

【扶養照会で確認されること】
・申請者との関係性
　　→親・子・兄弟姉妹など
・親族側の収入や生活状況
・扶養する意思があるかどうか
　　→仕送りなどの援助が可能か
・今後の援助予定の有無

行政から送付される扶養照会書には、申請者の氏名や申請の目的が記載されており、親族が回答する形式になっています。

また、仮に「扶養できない」と回答しても、そのことが申請者にとって不利益となることはありません。

扶養照会で親族はどこまで調べられる？

扶養照会では、行政が親族のプライバシーを過度に調査するわけではありません。

基本的に、照会の対象となるのは
「民法上の扶養義務者」とされる3親等までです。

【3親等に含まれる続柄】
・親子
・祖父母
・兄弟

親族が「回答しない」「扶養できない」と述べた場合でも、ペナルティなどが課されることはありません。

扶養照会のことで何かお困りのことがあれば、ぜひ一度ほごらんどにお問い合わせください。

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【申請者側】扶養照会がなされないケースと断り方を解説！

生活保護を申請する際、
「親族に知られたくない」
「関係性が複雑で、連絡をとってほしくない」
と感じる人も少なくありません。

以下のようなケースに該当していて、それらをきちんと説明できれば、扶養照会がなされない可能性が上がります。

疎遠になっており援助が得られない場合

親族と実質的に交流が断たれている場合、行政側は扶養照会を行いません。

【疎遠であると認められるケース】
・10年以上音信不通になっている
・親族の住所が不明

以前は、音信不通期間が20年以上である状態を「扶養照会履行対象としない」と定めていました。

しかし、2021年の改訂によりこれが「10年以上」に変更されました。（厚労省）

これにより、扶養照会を避けられるケースがかなり増えたのです。

親族からDVや虐待を受けている場合

過去に親族からDVや虐待を受けていた場合、
扶養照会は原則として行われません。

可能であれば、警察や医療機関の記録、相談機関への相談履歴などがあると説得力が増しますが、申告だけでも対応してもらえるケースもあります。

金銭問題で親族とトラブルになっている場合

金銭面で親族と深刻なトラブルを抱えている場合も、扶養照会を避ける理由として認められることがあります。

以下のようなトラブル事例が挙げられます。

【金銭トラブル事例】
・高額な借金をしている
・借金を返す目処が立っていない
・相続問題でトラブルになっている

以上のような場合には、連絡を取ることで
トラブルが再燃するリスクがあります。

生活保護の借金について詳しくは以下の記事をご覧ください▷

【親族側】扶養照会の断り方を解説！
拒否・無視はできる？

生活保護の扶養照会を受け取った際、経済的な理由から援助を断りたいと考える親族も多いでしょう。

経済的な理由で援助できないことを伝える

他の人を扶養できる経済的余裕がない場合は、
その旨を伝えることで扶養を拒否できます。

これは、生活保護制度における扶養義務は
「努力義務」として位置づけられているからです。

努力義務とは…
法律で、あることを「努めるべき」とされているもの。
法律的な強制力はない。

そのため、扶養照会を拒否したとしても
責任を問われることはありません。

絶縁状態であるため援助できないことを伝える

申請者と完全に絶縁している場合、その事実を行政に伝えることで扶養を断ることが可能です。

「長年連絡を取っておらず、今後も
一切の関係を持ちたくない」
「精神的・社会的に交流を断っている」

といった事情を、照会文書の返信欄に記載する形で伝えると良いでしょう。

行政は、親族間の実情や意思を考慮し、無理に扶養を促すことはしません。

何もせず無視をする

扶養照会への回答は義務ではないため、
無視するという選択も法律上は可能です。

ただし、返信しないことで申請者に気まずい思いをさせたり、後々の誤解を生む可能性があるため、
関係性によっては簡単な一文でも返信する方が望ましい場合もあります。

扶養照会を理由に生活保護を諦める必要は全くない

扶養照会を理由に生活保護の申請をやめてしまう方は多いです。

実際、調査の結果「生活保護を利用しない」と答えた方の理由のうち34.4%が
「家族に知られるのが嫌だから」でした。
参考：日本共産党-生活保護の扶養紹介って？

なぜ扶養照会を恐れる必要がないのか

なぜ扶養照会を恐れる必要がないのでしょうか。

それは、扶養義務が「努力義務にすぎない」からに尽きます。

厚生労働省も「扶養義務が見込めないものに対しては扶養照会を行わない」と明確に述べています。

「扶養義務の履行が期待できない」と判断される扶養義務者には、基本的には扶養義務者への直接の照会（以下、「扶養照会」という。）を行わない取扱いとしている。
参考：厚生労働省-扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について

親族が援助を断ったとしても、それが原因で生活保護の申請が却下されることは基本的にありません。

たとえば、以下のような場合には扶養照会を避けられます。

【扶養照会がなされないケース】
・親族と疎遠になっている
・親族からのDVや虐待に遭っていた
・金銭トラブルがある

扶養照会の断り方について詳しく見る△

生活保護を利用しないのは勿体無い

扶養照会を恐れて、生活保護を受給しないのは
正直すごく勿体無いのです。

実は多くの支援が受けられる

生活保護と聞くと「現金の給付」だけを想像する人が多いですが、実際には多くの公的サポートが受けられるのです。

【生活保護で受けられる支援例】
・医療費の全額補助
・住宅費の支給
・引越し費用の支給
・教育費の補助
・就労支援
など

例えば、医療費を払えなかった人が、生活保護を通じて治療を受けて回復し、再び働けるようになったというケースも少なくありません。

このように、生活保護制度は受給者の生活再建に向けた多くの支援を行っています。

一度きりの申請でも大きな効果がある

一度の申請であっても、生活保護を受けることによって大きな効果が得られるのです。

【一度の申請で得られる大きな効果】
・心身の余裕が生まれる✅
・人生を見直す時間ができる✅
・経済的な不安から解放される✅
・孤独感を軽減できる✅

このように、たとえ短期間の受給であっても、生活保護は“安心の土台”となり、将来の展望を描くための大きな第一歩となるのです。

ほごらんどなら、生活保護を受給後もずっとサポートが続きます。

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生活保護の扶養照会に関するよくある質問

生活保護の扶養照会で住所はバレる？

生活保護の扶養照会で申請者の住所が親族に伝わることは基本的にありません。

扶養の可否を確認するための手紙には、申請者の名前や関係性は記載される場合がありますが、住所などの詳細な個人情報は伏せられます。

個人のプライバシーは配慮されていますので、安心して申請できます。

生活保護の扶養照会を無視したらどうなりますか？

生活保護の扶養照会を親族が無視した場合でも、特に罰則はありません。

返答がなかった場合は「援助なし」と判断され、申請者には通常どおり生活保護が支給されます。

【親族側】扶養照会の断り方について詳しく見る△

生活保護で親族はどこまで 調べられる？

生活保護の扶養照会では、原則として３親等以内の親族に対して連絡され行われます。

また、その際に調査される内容は以下の通りです。

【扶養照会で調査される内容】
・申請者との関係性
・親族側の収入や生活状況
・扶養する意思があるかどうか
・今後の援助予定の有無

扶養照会の親族への連絡の有無や仕組みなどについて詳しく見る△

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